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離散系シミュレーションとスケジューリング(RPS)

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離散系シミュレーションとスケジューリング(RPS)

(Simio社製”Simio”)

 

弊社では、米国ペンシルベニア州に本拠を置く“Simio社”が提供する、離散系シミュレーションとリスクベースド・プランニング&スケジューリング(RPS)の統合ソフトウェアパッケージ“Simio”のライセンスおよび付帯するシステム導入サービスについて、日本国内での販売代理業務を行っています。混合、反応、分離、充填、梱包、検査などのバッチ処理を含むプロセス産業はもとより、組立加工系の工場や物流配送センター、交通システム、病院、公共サービスなど、およそ非連続プロセスとして対象物の移動、処理件数、処理時間、待ち時間などの管理が重要となるあらゆる産業分野において、離散系シミュレーションの利用が進展しています。Simioは、離散系シミュレーションの汎用ソフトウェアとして最先端の機能を備えると同時に、離散系シミュレーションを基礎としたリスクベースド・プランニング&スケジューリング(RPS)の機能を同じソフトウェアプラットフォーム上で実現する、非常にユニークなソフトウェアパッケージです。以下に、Simioの離散系シミュレーションおよびスケジューリングの卓越した機能についてご紹介します。

 

離散系シミュレーションとは

離散系シミュレーションは、時間軸上で離散的に発生するイベントがランダム性を伴う場合に特に有効なシミュレーション技法です。たとえば、下の絵に示すような銀行のATMサービスについて考えてみると、ATMへの顧客の到着はランダムに発生し、個々の顧客がATMの操作を行う時間もランダムに変動します。この場合に、ATMのマシンの台数や顧客の待機スペースをどの程度用意するのが適切かといった問題は、離散系シミュレーションを使うと容易に推定することができます。

詳細は省略しますが、顧客の到着頻度がピークになる時間帯の到着頻度の予想値(たとえば1時間当たり30人など)を与えて、ATMの台数と待ち行列の人数の関係を離散系シミュレーションを使って推定した結果を下の表に示します。表中、数値の右側に±で表示されている値は、推定された値の95%信頼性区間を示しています。このように離散系シミュレーションでは、ランダムに発生する事象を定量的に扱うため、複数回のシミュレーションを試行してその結果の平均値と共に信頼性区間を推定します。ここでは、各ケースについて顧客到着頻度がピークである状態が24時間継続するとしたシミュレーションを20回試行しています。たとえばケース1の結果から、ATM4台で運用した場合には、最大待ち人数は、95%の確率で、41.6±6.2人の範囲に収まると結論付けることができます。しかし、50人近い人の待ちスペースを用意するのはスペース効率の観点からも顧客へのサービスレベルの観点からも望ましくないので、ケース2のように、ATM5台で運用するのが望ましいと言えるでしょう。その場合は、95%の確率で、最大待ち人数は14.0±1.7人となることが期待できます。

検討ケース ケース1 ケース2 ケース3 ケース4
ATM台数 4 5 6 7
利用率 95.9%±1.1% 76.3%±0.9% 63.8%±0.9% 54.2%±0.6%
最大待ち人数 41.6±6.2 14.0±1.7 9.1±1.1 6.7±0.8
平均待ち時間 7.96±1.77 0.69±0.09 0.19±0.02 0.06±0.01

 

このように、離散系シミュレーションはランダムに到着する顧客に対してサービスを提供するあらゆる施設の設計に有効で、病院、空港、スタジアム、役所、ビルエレベータ、交通システムなどの設計で利用されています。また、工業製品を生産する生産施設も、離散系シミュレーションの主要な適用分野です。そこでは、人のかわりに、生産施設に到着する原料や部品、または注文そのものを対象物とすることで、生産施設における各工程の機械の台数・能力、搬送設備の能力、原料・中間品・製品の倉庫や仮置きスペースなどの設計に利用することができます。

離散系シミュレーションと3次元モデル

離散系シミュレーションの忘れてはならないもう一つの特徴は、必要であれば実寸法を考慮した3次元空間にモデルを配置し、さらにアニメーション化できる点です。この機能によって、施設のレイアウトや施設内部での人や物の移動、待機状態などを実寸法とリアルな形状を模擬してモデル化および可視化することが可能となります。離散系シミュレーションの2次元および3次元のモデリングとアニメーションの機能には、以下のような利点があります。

  • 施設内の設備の配置や人と物の動線を実寸法に即して視覚的に検討できること
  • 設計された施設が設計者の意図どうりの動きをするかどうかを視覚的に確認できること
  • 施設の設計や運用に関与する関係者間で施設運用のイメージを共有できること
  • 計画段階において顧客や社内のマネジメントに対する効果的な説明のためのツールとして利用できること

実は最初に示した銀行ATMの絵は、Simioを使って作成した3次元モデルによるアニメーション実行時のスクリーンショットです。Simioを使った銀行ATMのモデリング作業では、最初に図-1の左に示すような、線分や三角形・四角形などで表される標準オブジェクトを組み合わせたモデルを2次元のビュー上で作成します。このモデルは実際には高さ方向の次元も備えており、図-1の右に示すように3次元のビューに瞬時に切り替えることが可能です。

図-1.銀行ATMのモデル(2次元ビューと3次元ビュー)

離散系シミュレーションによって実際に設計検討を行う人にとっては、これらのビュー上で、自分が定義したモデルの構成要素の振舞いをアニメーションにより目視・確認できれば十分であり、実際にそれは可能ですが、離散系シミュレーションの知識のない関係者にとって上記のビューによるアニメーションでは少し分かりにくいかもしれません。そこでSimioでは、上記の図上の標準オブジェクトのシンボル形状(見た目)を、モデル化対象の実体に合わせて、Simioが標準で提供する実体シンボルや”3D Warehouse”(米国Trimble社が運営する誰でも自由に利用可能な3D Picture Modelのデータベースサイト)から検索してダウンロードしたシンボルに、自由に置き換えることができるようになっています。これを実行すると、人は人らしく、ATMはATMらしく簡単に表現できます。そうすると、シミュレーション実行中のオブジェクトの動きをよりリアルにアニメーション化することができます。下の絵のPlayボタンを押して、Simioによる離散系シミュレーションのアニメーションによる表現を確認して下さい。

 

離散系シミュレーションとスケジューリング

Simioは、上記の離散系シミュレーションの機能を活用することによって、他の離散系シミュレーションソフトウェアには見られないユニークかつ有用な機能である、リスクベースド・プランニング&スケジューリング(RPS)の機能を提供します。この機能については、次のページでご紹介します。

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