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Simioの導入事例

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Simioの導入事例

(Simio社製”Simio”)

 

Simioは、先進的な機能を備えた離散系シミュレーションソフトウェアとして、幅広い産業分野において施設の最適設計や最適運用のためのツールとして活用されています。また同時に、離散系シミュレーションの機能を基礎とするリスクベースド・プランニング&スケジューリング(RPS)の機能は、多くのスケジューリング問題に対する最適なソリューションを提供しています。以下に、それらの活用事例のいくつかをご紹介します。

施設設計に関する活用事例

▶コザン社(Cosan Limited, ブラジルの砂糖・エタノール生産会社):原料サトウキビ集荷システム

背景と目的

ブラジルにおける製糖・バイオマスエネルギー・鉄道事業などの総合企業として知られるコザン社は、その傘下の子会社において年間73百万トンのサトウキビを処理して4.3百万トンの砂糖と20億リットルのエタノールを生産しています。製糖・エタノール製造の能力の向上のためには、国内の農地で生産されるサトウキビの製糖工場までの輸送能力の強化が必要と考えられたことから、サトウキビの国内農地での収穫から製糖工場への搬入までの現行の物流システムについて、そのボトルネックの同定と適切な改善のための投資計画を立案する必要がありました。そこで離散系シミュレータとしてSimioを採用し、物流システムのシミュレーションモデルに基づく最適な投資計画の立案を行うこととしました。

プロジェクト概要

現場での実運転データを収集すると共に、Simioを使用してサトウキビの収穫からトラックへの載荷、トラック輸送、製糖工場での受入れまでのロジスティクスをモデル化し、240日間(サトウキビの収穫期間)のシミュレーションを実施しました。モデルには、シミュレーション期間中の労働力の変動や設備の計画外停止などの不確定要素も取り込むことにより、より現実的なシミュレーションが可能となるようにしました。

導入成果

シミュレーションによってサトウキビの搬送のボトルネックとその適切な改善策が明らかとなり、最終的な改善計画案では、当初計画よりUS$500,000もの投資の削減が可能であることが明らかとなりました。また、3Dモデルよるアニメーションによって設備の稼働率の変動や待ち行列の発生状況を可視化したことで、マネジメントへの改善計画の説明を効果的に行うことができました。

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▶バンクーバー空港(Vancouver International Airport):施設のサービスレベルの検証

背景と目的

カナダ第二の規模の国際空港であるバンクーバー空港は、年間22.3百万人の乗客と28万回の飛行機の離発着を行う大規模空港ですが、同時に北米の空港の中では、常に乗客から最上位の評価(Skytrax World Airport Awards) を得ている空港です。このような乗客の空港に対する高い評価を将来に渡って維持向上したいという空港関係者の強いモチベーションの下、空港におけるチェックイン、セキュリティゲート、税関審査、手荷物受取りなどのサービス状況をバンクーバー空港の全ての離発着フライトの乗降客について、シミュレーションにより検証することが計画されました。

プロジェクト概要

Simioの離散系シミュレーヨン機能を使って、空港内の人の動きとサービスの提供状況を模擬する、空港の全体モデルの作成が行われました。また、各フロアレベルのAutoCAD図面をモデルに取り込むことで、実寸法に即したモデルを作成し、空港内の乗客の歩行距離が正しく反映されるようにしました。このモデルを使ったシミュレーションにより、空港当局が設定する年間のサービス目標との対比を行い、目標の達成度を評価することができるようにしました。

導入成果

作成されたシミュレーションモデルは、年々変化するフライト数や乗降客数および乗客のニーズに合わせてサービスを改善していくための、強力なツールとして利用されています。また、乗降客数の増加等によって施設の能力増強が必要となった場合の、適切な施設改造計画の立案でも威力を発揮しています。具体例として、乗降客数の増加による税関ホールの面積の不足が問題となった際、当初は建物本体の拡張工事が必要と考えれましたが、Simioモデルによる検討の結果、帰国者専用のキオスクを設置することで面積不足の問題を解決できることが分かりました。これによって、およそUS$100 millionに近い投資を回避することが可能となりました。

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▶日産自動車バルセロナ工場(Nissan Motor Iberia SA, Balcelona):生産ライン増設計画

背景と目的

日産自動車のバルセロナ工場は、NV200バンを中心とする複数車種を年間十数万台生産する、ヨーロッパの主要工場のひとつです。バルセロナ工場では、稼働中の生産ラインおよび増設する生産ラインの設備のレイアウトや搬送設備の能力の最適化のため、離散系シミュレーションツールを活用することとしました。

導入プロジェクト

Simioの導入は、Simioの現地のパートナー会社のエンジニアと日産のエンジニアがチームを作って、特に増設ラインの設計で課題となっている以下のような問題に早期の回答を得るため、複数のモデルを平行して作成するアプローチを採りました。

  • 与えられた車の生産台数に見合う最適な搬送用ハンガーの台数の決定
  • 複数車種の同時生産に対するラインの適応性の確認
  • 別々の生産ラインで組み立てられるボディとシャーシが異なるタイミングで到着する合流地点における組立作業の評価

導入成果

Simioを使った生産ラインのシミュレーションにより、生産ラインのレイアウトの最適化や搬送設備の能力最適化が可能となり、上記の課題に対して満足できる結果を得ることができました。特に別々の生産ラインで組み立てられるボディとシャーシを合流地点でどのようにシンクロナイズさせるかといった課題では、適用すべき手法の検証もシミュレーションにより可能となるため、特に有効であることが分かりました。Simioの導入により、生産設備を担当するエンジニアは生産ラインに関するより深い洞察が可能となりました。今後の既設生産ラインの改善や、将来の新しい生産ラインの設計においても、Simioの活用が期待されています。

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▶ネブラスカ医療センター:総合がんセンター新設計画

背景と目的

米国ネブラスカ州オマハにあるネブラスカ医療センター(The Nebraska Medical Center=TNMC)は、臓器移植手術で世界的に高い評価を得ている米国屈指の先端的医療センターであり、800以上のベッドと1000人以上の医師、および40の診療施設を擁しています。そして、全米および諸外国から2016年現在で年間約30,000人の入院患者と約850,000人の外来患者を受け入れています。TNMCでは、将来建設予定の総合がんセンターの計画立案フェーズで、キャンパス内の手術施設の配置について既存の施設も含めた最適な再配置について検討することとしました。将来の手術施設の配置は、4つの建物、即ち既存の2つの建物と新設の2つの建物に再配置されることが予想されました。将来の患者数の予測に基づいて最適な手術施設の規模と配置を決めるには、複雑なモデルと将来予測の不確実性を前提とする必要があることから、TNMCでは、離散系シミュレーションツールとしてSimioを採用して、この問題に取り組むこととしました。

導入プロジェクト

Simioによるモデル化の第一段階では、まず既存の病院管理システムおよび手術情報管理システムから、患者の到着、医療スタッフの配員、手術室の利用率、利用時間、患者および医療スタッフの移動距離などの情報を入手し、さらに医療スタッフからの聞き取り調査を行って、現行の手術施設の運用状況を忠実に再現できるモデルを作成しました。そして、このモデルをベースに、将来の患者数の増加に関する予測と手術施設の規模を考慮した手術施設の再配置に関する複数のシナリオを設定し、シナリオ毎のモデル化とシミュレーションを実施することで、よりよいシナリオの探索を行いました。その結果、関係者間で一致した選択として、手術施設の最適な配置、必要な手術室の数、各施設の担当する手術の種類、各施設の運用手順などを決定することができました。シナリオの選定においては、手術室の利用率や患者および外科医の移動距離などのパフォーマンス指標に加えて、がんセンター建設プロジェクトのビジョンや原則に基づく判断が行われました。

導入成果

本検討の結果、以下の6つの改善の可能性が提示されました。

  1. 医療スタッフのロードがピークになる時間帯の手術室の利用率の向上
  2. 医療スタッフのロードが低下する時間帯の手術室の利用率の低下
  3. 特殊医療器具を持つ手術室の利用率の向上(必要な手術室の数の減少)
  4. 外科医の常駐エリアと手術室の間の歩行距離および移動回数の減少
  5. 患者の移動距離の減少
  6. 患者の来訪から退院までの時間の短縮

本検討によって得られた最終結果は、将来の患者数の増加とTNMCの現行の手術室の運用状況およびそれらの変動をよく反映したものであり、将来の予測として信頼のおける結果であると言えます。TNMCは、ここで得られた手術施設の再配置計画や運用手順を設備の設計および将来の手術室運用に適用することで、手術施設の最適な運用状況を実現することが期待できます。

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▶リタイアメントクリアリングハウス(米国の確定拠出型年金管理サービス会社):転職者の年金行動シミュレーション

背景と目的

リタイアメントクリアリングハウス(Retirement Clearinghouise, LLC = RCH)は、ノースカロライナ州シャーロットを拠点とする企業型確定拠出型年金の移行および管理に関するサービスを提供する会社です。米国では、年間14.8百万人の確定拠出型年金アカウントを持つ転職者がおり、その内5.3百万人は5千ドル以下の年金積立額保有者であって、その積立額の多くは転職者が転職後に現金として引き出しています。RCHはこのような少額の年金積立額を持つ転職者に対して、転職前のアカウントから転職後のアカウントへの積立金の自動移行のサービスを提供しています。RCHは、17,700以上の退職年金プランを対象に、総額148億ドル以上の積立金を持つ百万人以上のプラン参加者に対してこのようなサービスを提供し、現金として引き出される積立金の額を50%以上減らすことができることを証明しています。RCHは、このような転職に伴う年金積立額の現金化によるファンドからの喪失とその喪失を減らすことが、年金プランのスポンサー、金融機関、そして業界全体にどのような長期的な影響を及ぼすかをシミュレーションモデルを使って評価したいと考えました。このシミュレーションでは、少額の年金積立額を従来通り現金化する人またはRCHのサービスを利用して年金の自動移行を行う人に加えて、それ以外の選択肢(IRAや個人型401kへの移行)を選択する人もモデル化する必要があります。また、個人の選択が時代の経過と共に変化していくことによる影響も考慮できる必要があります。このようなニーズに応えることのできる最適なシミュレーションツールとして、Simioが選択されました。

導入プロジェクト

RCHは、外部のコンサルタントと協力して、年間数百万人の確定拠出年金のアカウント保有者が実際に転職時に行っている積立金の処置に関する選択の現状を反映したモデルを作成し、モデルが必要とする様々な情報は、Employee Benefits Research Institute(EBRI)が公表しているデータに基づいて作成しました。Simioにより作成したモデルでは、以下の3つのタイプのプロセスがモデル化されました。即ち、個々の確定拠出型年金アカウント保有者およびその年金積立額に対する処置方法の選択、現金の処理プロセス、そして会社間の情報処理プロセスです。これにより、もし確定拠出型年金の転職時の自動移行サービスが広く利用されるようになった場合に市場がどのように変化するかをシミュレーションによって示すことが可能となりました。

導入成果

RCHは、作成されたシミュレーションモデルを使って、確定拠出型年金プランを提供する会社に対して自動移行サービスの効果をデモすることができるようになりました。これによって、RCHは彼らの自動移行サービスに協力する会社をより多く獲得できるものと考えられます。また、RCHは作成されたシミュレーションモデルが示す業界全体へのインパクトについて、最近のEBRI Policy Forumで発表しています。それによると、もし自動移行サービスが広く普及して、転職者による現金化の割合を3分の1にできたとすると、将来の世代の確定拠出型年金プラン参加者に対して、1,150億ドル以上の積立金の上乗せが可能となるとのことです。

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スケジューリングに関する活用事例

▶シェル社:メキシコ湾海上配送システム

背景と目的

石油メジャーの一角を占めるシェル社は、メキシコ湾の同社の保有する海底油田における原油生産のための複数の洋上設備に、米国本土の港から毎月50,000トンの資機材を40隻以上の搬送船を使って供給していました。各洋上設備からの個別配送要請に基づく資機材搬送が主体であり、毎月の航海回数は延べ200回以上、搬送品目は9,000アイテム以上、搬送船のサイズは様々(500~6000トン級)であり、荷姿も液体であったり固体でたあったりします。この物流システムの配船計画には、以下のような問題があり、これらを解決するするべく先進的なスケジューリングシステムの導入が計画されました。

  • 扱う品目や航海回数が多く人手に頼った計画作成作業では最適な配船計画の作成は困難
  • オフショア施設のスペースは限られるので適切なタイミングで配送したいが、なかなか予定通りにいかない
  • 機材の到着遅れ、港湾の混雑による搬送船の待ち発生、天候による影響などで配送に要する時間が変動し計画通り行かない
  • 結果として不適切な配船計画による納期遅れや搬送船の利用率の低下が発生している

導入プロジェクト

まず、スケジューリングをより短いタイムスパンで実行できるよう、スケジューリングシステムが必要とする情報を、ネットワークを通じてリアルタイムで収集できるようにしました。具体的には、搬送船の活動状況のトラッキングシステムや、洋上設備からの配送要求の管理システムから、リアルタイムで情報を入手できるようにしました。そして、それらの情報をSimioの入力情報とし、さらに以下のような情報を使ってSimioのモデルを構築しました。

  • メキシコ湾の地図上で実スケールの縮尺により特定される港湾や洋上プラットフォームの位置
  • 使用する港湾の荷揚・荷下し施設の基数や能力、接岸・載荷に要する時間
  • 資機材の配送先の洋上設備における港湾と同様の設備能力情報
  • 搬送船の面積・重量・体積ベースの搬送容量、積載可能品目、航行速度、使用料等の情報
  • 配送要求に対する配船ルール、配船ルート選定ルールの定義

導入成果

Simioのリスクベースド・プランニング&スケジューリング(RPS)の機能を活用することで、従来、個々のオフショア施設にピストン輸送の専用船を配船していた方式を廃し、全てのオフショア施設で全ての搬送船を共有化する配船計画を立案することが可能となりました。これにより、搬送船の利用率を劇的に向上(搬送船の必要隻数半分以下)することができました。シェル社の試算では、同様のシステムを同社のブラジル沖のオフショア施設に対しても適用することで、合計年間約300百万ドルの経費節減が見込まれるとのことです。また、リアルタイムかつ高速にスケジュールを作成できるようになったことで、様々な変動要因にも柔軟に対応できるようになり、さらにWeb Portalを通じて関係者による最新スケジュールの共有が可能となりました。

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▶ジョンディア社(米国の重機メーカー):生産スケジュール

背景と目的

米国のトラクターを始めとする農業用機械や建設用機械の主要メーカーのひとつであるジョンディア社では、同社のアイオワ州にある鋳物工場において数百種類の部品を様々なレシピで生産しています。この工場では、生産スケジュールをエクセルベースで作成していましたが、生産プロセスの複雑な制約条件の全てをスケジュールに反映するのが難しく、時に実行不可能なスケジュールを作成してしまうことがありました。また、スケジュール作成にMESやERPからの情報を直接反映させる手段がなく、結果として作成されるスケジュールの品質の低さが、生産システムのパフォーマンスを低下させる原因となっていました。そこで、この問題の根本的な解決策としてSimioベースのスケジューリングシステムの導入を行うこととしました。

導入プロジェクト

導入するスケジューリングシステムは、MESと強固にインテグレートされたシステムとし、全ての生産プロセスの制約を考慮した詳細スケジュールの作成が可能となるよう計画されました。また、状況の変化に合わせて迅速に再スケジューリングが可能となること、作成されたスケジュールはMESオペレータの画面に表示可能なことも、システムの重要な要件として考慮することとしました。

導入成果

システム導入の結果、より安定した生産と製品のスループットおよび設備利用率の向上が達成されました。また、MESとの緊密な情報連携により、作成されるスケジュールの信頼性が向上すると共に、計画と実績の乖離の早期検出と迅速な再スケジューリングが可能となりました。

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▶ロッキードマーチン社:F-35戦闘機の生産に関する企業統合モデル

背景と目的

ロッキードマーチン社は、米国国防省から米国の空軍力の将来の要となる第5世代戦闘機、F-35 Lightning IIの開発および生産を受託している巨大企業ですが、同時に米国以外の世界各国へのF-35の販売供給の責任も担っています。一般的に、F-35を購入する国の多くは経済的理由および技術移転を目的として、F-35の部品の生産やF-35の受託生産を希望するケースが多く、F-35の購入者であると同時に部品や完成品の供給者となるケースが多いのが実情です。従って、ロッキードマーチン社としては、各国とF-35の販売契約を結ぶ場合には同時に供給契約も結ぶことが多くなりますが、その契約内容を決定することは、現行の生産能力の増強と同時に既存のサプライチェーンへの影響や財務面でのインパクトも考慮する必要があり、非常に複雑かつ重要なビジネス上の意思決定を行うことを意味します。ロッキードマーチン社は、このようなビジネス上の意思決定を支援するシステムとして、契約内容のビジネスリスクを定量的に評価するためのシミュレーションモデルが必要と考え、大規模かつ複雑なシステムのモデリングを可能とし、かつリスク評価に適したシミュレーションの枠組みを提供するSimioを採用して、シミュレーションモデルを開発することとしました。

導入プロジェクト

Simioを使って、企業全体のF-35生産活動シミュレーションモデルが構築されました。そこでは、新規契約条件を考慮したF-35のサプライチェーンおよび財務管理の統合モデルが組み込まれ、生産能力や投資コストおよび利益の時間軸上の変化を様々な変動要因を考慮してシミュレーションできるようにしました。サプライチェーンモデルにおいて必要となる設備能力の情報や運転上の変動要因の情報、また財務管理モデルで必要となる資本支出に関する情報などは、外部のエクセルファイルで作成し、Simioのデータテーブル経由で個々のモデルに反映されるようにしました。また、サプライチェーンモデルの構築においては、F-35の製造プロセスに特有の複数の標準オブジェクトを最初に作成し、それらを組み合わせて各生産拠点のモデルを作成し、さらにそれらを統合して企業全体のサプライチェーンモデルを構築しました。このようなモデルの階層構造を採用することにより、様々なビジネスシナリオに対して柔軟に対応できるモデリング環境を実現することができました。

導入成果

作成された企業統合モデルを使ったシミュレーションによって、現行の契約に基づく将来のF-35の生産要求に応えるために、時間軸上でどのように生産能力を増強していくべきかという問題に対する回答を得ることができるようになりました。このシミュレーションには、新規の顧客との契約に基づくF-35の生産要求の追加や、同時に顧客から提供される生産能力の追加も含めることができます。このようにして、企業統合モデルによるシミュレーションは、新規の契約による顧客獲得のサプライチェーンと財務管理への総合的な影響に対する理解を促進し、契約内容を適正化するためのツールとして利用できるようになりました。また、シミュレーションモデルの感度分析機能によって、ビジネスシナリオ毎の生産能力、変動要因、およびビジネスリスクの間の関係を定量的に理解することができるようになりました。このことは、サプライチェーンのパフォーマンスの強化と新規顧客の獲得の適正なバランスを探る上で効果的です。顧客との契約条件を調整して適正なバランスが達成できると見込まれる場合には、契約段階から次の詳細計画の段階へと進むことができます。以上のように、F-35の購入者がその部品または製品の供給者でもあるようなケースでは、サプライチェーンと財務を統合した企業総合モデルに基づく意志決定が重要であり、開発したシミュレーションシステムはその目的を十分達成できることが分かりました。

 

▶デンマーク首都地域(デンマークの首都を含む行政区):地域病院への医療用物資配送システム

背景と目的

デンマーク首都地域(Capital Region of Denmark=CRD)は、デンマークの5つの地方行政区画のひとつであり、首都のコペンハーゲンを含む29の基礎自治体から構成されています。地域の主な仕事は公的な医療サービスであり、CRDは、地域にある12以上の病院を運営しています。2010年の春、CRDは、外科用器具の洗浄、梱包および無菌化を集中して高度に自動化された設備で実施する施設(Central Sterile Services Department=CSSD)を域内の2ヶ所に設置することにしました。その理由は、この地域で新しい無菌化のガイドラインが適用された場合に、既存の施設では品質面で対応が困難と予想されたからです。また、CSSDと域内の病院との間の外科用器具の配送をスムーズに実施するため、それぞれのCSSDに物流センターを設置することとし、各物流センターは外科用器具以外の一般の医療関連物資(医薬品、リネン、制服、廃棄物、郵便物、その他の配送品)の貯蔵・配送も行えるよう計画されました。CSSDと物流センターの最も重要な役割は、毎日域内の各病院での外科医療が始まる前に、必要な外科用器具が正しい場所に届いているようにすることです。そこで、CSSDと物流センターの制御システムに対して適切なタイミングで実行指令を行うMESの導入が必要と考えられました。

導入プロジェクト

デンマークにおいて生産システムのMESとしてよく使用されているシュナイダー社のWonderware MESが、ソリューションのベースとして採用されました。また、Simio社のSimioがスケジューリングシステムの構築用ツールとして採用されました。SAPにおいて作成される外科用器具のCSSDでの無菌化処理と病院への供給の全体計画をMESで受信し、その計画に基づいて無菌化処理設備の稼働スケジュールおよび無菌化処理済の外科用器具の病院への配送の詳細スケジュールをSimioが自動作成するものとしました。Simioの作成した詳細スケジュールはMESによって設備への操作指令として伝達され、実際の操作が実行されます。施設内の物の移動はRFIDタグによってトラッキング可能とし、スケジュールと実際の設備の稼働状況の差異を常時モニタリングできるものとしました。また、設備の故障時の再スケジューリングや緊急手術のための優先的な外科用器具配送要求などにも、迅速に対応できるシステムとしました。

導入成果

Simioは対象設備の詳細なシミュレーションモデルを内部に保持し、そのモデルに基づいて常に制約条件を満足する詳細スケジュールを作成することが可能であり、同時にプロセスに存在する変動要因の影響も考慮できることから、外科用器具の納期を確実に満足する信頼性の高いスケジュールの作成が可能となりました。また、現場からの作業の進捗に関するリアルタイム情報を与えることによって、リアルタイムの自動スケジューリングシステムとして運用することが可能となりました。さらに、スケジューリングシステムによって作成された詳細スケジュールのシミュレーションを実行することで、将来の設備の稼働状況を可視化することも可能となりました。

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